俺にとって、 世界で一番、 誰が可愛いか という事。 教えてやるよ 「うわっ。」 鏡を見てが呟く。 というか、いきなり顔の肉をつまみだして、いろんな方向にひっぱりはじめた。 「・・・何やってんだよ。」 このの異常事態を放っておけるわけもなく、冬獅郎はに声をかける。 「ねぇ、冬獅郎・・・」 あごの肉をつまみながらが言う。 「・・・あたし、太ったよね?」 「・・・そうか?」 なんだ。 そんな事か。 うーん、にとっては一大事なのかもしれないが、別に俺的には女っつーのは少しポッチャリが言い訳で。 いや、別にが太ったとかどうこうではなく、 まぁだったら少しくらい太ってもちょうどいいくらいだと思うのだが。 「正直に言って・・・」 涙ぐみながらが言う。 んな事言われても。 あんまり変わりない気がするが。 「んー まぁ少し太ったんじゃねーの??」 こう言っとけばいいだろう。 そう思ったのが大間違い。 はよけいに肉をつまんでは上に引き上げ、目を大きく見開いたり、 口をパクパクさせたりと、気が狂ったかのような行動をしはじめた。 「んな・・・ 気にすることねーって。」 ったく。 女っつー生き物は外見を気にしすぎなんだよ。 つくづくそう思う。 素のままで生きていきゃぁいいだろうが。 「可愛くなりたい・・・・」 「・・・まぁ頑張れ。」 「うわ、彼氏なんだから少しは応援してよ。」 「まぁ俺は別に不自由してねーし?」 「桃ちゃんはあんなに可愛いのに・・・」 「・・・そうか?」 「ここの肉をこーして、もう少し鼻を高くして・・・」 あーあ。 スルーですか? つーか、今度は整形の予定立て始めちまいやがった。 「なんでそんな事気にするんだよ?」 「だって・・・」 ちょっと恥ずかしそうに、何かを呟いた後、 はまたせっせと、自分の理想像をあみだしはじめた。 「もとからそんな顔なんだから、何を今更気にすんだよ?」 「うわ、ひどー」 「俺は事実を述べたまでだ。」 「・・・ちゃんを傷つけた罪で逮捕するよ?」 「勝手にしろよ。どうせ無実だし。」 「うざー」 ちょっと素直になれずにいる自分に腹が立つ。 ホントは、鏡とにらめっこしてるが一番可愛くて、普段の何倍も愛しく感じるというこの事実。 ぜってー口じゃ言えねーから、まだ鏡を睨んでいるを、後ろからそっと抱きしめた。 ======================================== 男っつーのは、言葉より行動で示す生き物だからな((鋼の錬金術師より マース・ヒューズ談 |