「ねぇ恋次、悩み、聞いてくれない?」






未確認生命物体







昼休み。

急にに呼び出された。



「なんだよ、悩みって。お前らしくもねぇ。」



は恋次にとって、幼馴染であり片思いの相手である。



「それがさ、私、好きなヒト出来ちゃったみたい。」



驚きの反面、もしかしたら自分では・・・・ と思い、心臓が高鳴る。



「誰なんだ、そいつ?」

「・・・・アンパンマン」



は照れくさそうに言う。

恋次は呆れて物も言えない。



「アンパンマンっておい・・・ 真面目に答えろよ。」

「真面目よ!!! 大真面目!!!」


必死で訴える



「アンパンマンって、あの現世のチビッコ達の間で大人気の・・・・あのアンパンマンか?」

「もちろん。それ以外にアンパンマンなんて居ないでしょ?」



そりゃそうだけど。



「何処らへんが良いんだよ?」

「そりゃ!!!まず何よりその正義感!!!お腹が空いて困っている子供達に、自分の顔を分け与えるという優しさ!!!

 定時刻に毎日パトロールに行くという計画性!!!しかも汚れたらすぐに新しい顔に取り替えられるという利便性!!!

 こんな完璧なヒト、世の中の何処探したって居ないわよ!!!!」



はそう熱く語る。

なるほど、そう言われてみればそうかもしれない。



「で、お前はソイツに恋しちゃったって訳?」

「うん、そうなの・・・」



はぁ と、は恋煩い特有のため息をつく。

違う意味で、こっちまでため息をついちまいそうだ。



「馬鹿だろ、お前。」

「そうだけど。 本当に好きなんだもん。」



普段なら、馬鹿という言葉に反応して、物凄い剣幕でつっかかってくるくせに...

自ら認めてしまうとは。



「相当重症だな。」

「そうだよね・・・」

「まぁ頑張れ。」

「頑張ります・・・・」



はまた溜息をついた。

隊舎への帰路をたどっていると、後ろからの声が。



「アンパンマーン!!!!!!!!!!」



叫べばアンパンマンが来るとでも思ったのだろうか。

振り返るのも馬鹿らしくて、聞こえないふりをしてそのまま隊舎に戻った。

でも、そういう変な趣味を持つだからこそ、俺が惚れてるんだと思う。

あ、でもホラ、なんだ。 その

俺がを振り向かせるには、アンパンマンと同じ性格じゃなきゃ無理って事か。

















「俺、顔ちぎれねーし・・・ 顔、新しいのに取り替えられねーし・・・」


なんとも悲しい結論に辿り着いた。















つまらない事で、昼休みを無駄にしたと思う。