今日も、軽やかな足取りで。 ご機嫌いかがでございましょう? 隣人の黒猫 夜毎、隣宅から響く甘い鳴き声。 その声の主は小さいながらも、どこか色気が漂う知らない女。 壁越しに聞こえてくる喘ぎに、自分の体も反応する。 時折、男が「」と叫ぶ。 あぁ、あの娘はと言うらしい。 *** 「・・・あの・・・・?」 「はい?」 目の前に、例の黒猫が居た。 「これ、この地域の掃除当番表のリストと、それから・・・・」 猫みたいに、可愛らしい声で喋る人だった。 動物って、飼い主に似るんだっけ・・・? だとしたら・・・。 あまり考えたく無い。 「じゃぁ、これ、よろしくお願いしますね。」 「あ、はい・・・・。」 そう手渡された回覧番からは、彼女の手の温もりがまだ残っていた。 長い間、お預けをくらった犬のように、その温もりを貪った。 隣へ戻る彼女の足音が、次第に速度を増していく。 次に聞こえたのは、幸せそうな笑い声。 扉をそっと開け、外の様子を伺ってみる。 そこには若いオスメスが深いキスを交わしていた。 それを見ながら、小声で呟く。 いつか、奪って見せましょう。 |