躊躇した。

いろんな意味で。









ご冗談でしょ?










「・・・・」



恋次も言葉を失っていた。

もう、これはどうこう言うとかの以前の問題だ。



「どうかしたのか?」



隊長が尋ねる。

そう・・・言われても。



「いえ、別に。」



そう答えるしかない。

も恋次も、その他隊員も、唖然として隊長を見つめている。








朽木隊長が。






朽木隊長の頭が。






朽木隊長の後頭部が。






朽木隊長の後頭部の髪の毛が。






一夜にして、ほぼ消滅していた。

所謂、“円形脱毛症”というやつ。

ちょうど、牽星箝が肥大したかのように、頭皮の白い部分が広がっている。

絶対朽木隊長は、自分の後姿など気にする人でないから・・・。

この一夜の変貌を、気付くはずが無い。



「恋次・・・こーゆー場合、ちゃんと言ってあげたほうがいいのかな?」

「馬鹿、どうやって言うんだよ。」

「えっ、そりゃストレートに“後頭部の髪、ありませんよ?”って・・・・無理か。」

「あたりめーだろ、んな事言ったら隊長、ショックで人が変わっちまうかもしんねぇ。」

「じゃぁ、さりげなく鏡で後頭部を・・・」

「それ、いいかもな。そしたら明日にはヅラでもつけてくるだろ。」

「「はぁ・・・」」



同時に溜息をついた。

そんな上手い話、あるわけない。

いっそ誰かにストレートに言ってもらおうか。

それとも良い部下として、そんな事は気にせず黙々と仕事を続けるべきなのだろうか。











「あぁ!!!!! びゃくやんの髪の毛無いよぉ!!!!!!」



普段動かしていないので、すこしギシギシと軋む脳をフル回転させていると

遠くからすさまじい一声が。



「やちるちゃん!!??」



振り返れば、恐れを知らぬ小さな背丈の副隊長様が。

何でこんなタイミングにこの子が居るのか。

ってゆーか“びゃくやん”って・・・

も恋次も、ショックと恐怖でモノも言えない。



「えー へんなのぉ?? びゃくやんどーしたの??」

「あの、そのやちるちゃん、、、飴たべる?」



そんなはっきりと。

子供って恐ろしい。



「うん、ありがとぉちゃん!!!」



たまたま持っていたキャンディをやちるに手渡すと、やちるは喜びながら六番隊隊舎を後にした。

子供って単純だ。



「おい、恋次。」

「はっ はい!!! 何でしょうか???」



恋次の体が硬直する。



「今のは― 誠か?」

「えっ、あの、その・・・・」



躊躇う恋次をよそに、隊長は合わせ鏡で自分の後頭部を確認する。














重たい空気が流れた。

誰一人として微動だにしない。















「アデランスとやらへ行って来る。」



それだけ呟くと、隊長は六番隊詰所を後にした。


















アデランス???















現世にある、某有名育毛専門の―・・・・

あのアデランス???


















アデランス・・・・








朽木隊長が・・・・







アデランス・・・・









アデランス・・・・










アデランス・・・・










アデランス・・・・





























耳元で、いつもと変わらぬ目覚まし時計のすさまじい音がした。














夢だった。


















姫蝶へ
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なんかこうやって書くと遺言みたいだね((笑
ホント遅れてごめんなさい(汗
アデランスって言うのは、、まぁ夢に使いたかったから一応質問してみたvv
なんか展開が急すぎて良く分からない、、
ってか書いた本人も良く分かってないので、
まぁテキト―にスルーしてやってくださいませο